2013/01/26

カレル・チャペック-スペイン旅行記(書籍)

ヨーロッパの北部に住んでいる人にとっては、南欧の風景はいつの時代でも憧れであり、いつかは行ってみたい所のようだ。それは日本人でも沖縄に行きたいといっているようなものだろうが、日本の場合、北海道を除いたどこでも亜熱帯に近い気候に接することもあるので、ヨーロッパ人が南欧にあこがれるのと、日本人が沖縄にあこがれるのとは全然違うと思う。日本人の場合は、澄み切った空と青い海と朗らかな現地の人のことに幻想を求めているのだろうが、ヨーロッパ人の場合は違う。夏になってもそんなに気候が高くなるわけでもないし、ねっとりした気候であることもない、そして何と言ってもヨーロッパ北部のほうは、牛や豚と変わりないようなどうしようもないご飯しかないようなところなのだが、南欧の料理は天候と人柄と同じように何を食べても美味いところである。そういう無いものねだりをするために南欧にいきたがるという傾向は強い。いまでも北欧の人たちは夏休みになったら、めちゃくちゃ太陽を浴びるために南欧へ旅行に行くということもあるようだが、それは今に始まったことじゃない。

戯作家のヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goeth)はドイツ人、彼も南欧にあこがれて、それまで妄想的に思っていたイタリアに対して、出発時から道中までの様子を書いた「イタリア紀行」は名著中の名著だ。2年間の滞在中の様子もその中で断片的には伝えられているのだが、その中身は「最高、イタリア最高、やっぱりきてよかった」との絶賛である。

チェコの戯作家であるカレル・チャペックは、チェコでは誰もが知っている人だし、カレル・チャペックの書いたイラストも、そのまま店の看板キャラクターにしているようなところも結構あったりするくらいだ。そのチェコ人の彼も南欧にはめちゃくちゃあこがれていたようだ。実際にはどういうところかというのは渡航前からスペインの情報をよく知っており、その耳で聞いた知識を元に実際に現地に行ってみて感じるものを事象ごとにまとめて書いたのがこの本「スペイン旅行記」である。だから、日記風というのではなく、スペイン国内で見て・感じて・思ったことをジャンル別に分けているから、とても分かりやすいし、これは今でも結構実はスペインのことをどういう国かというために説明するにはかなり役立つ本ではないかと思っている。

特に本の中でたまにスペイン語の表現が出てくる。ということは、カレル・チャペックはスペイン語を知っていたのか?と思ってしまった。それも単語レベル程度ではなく、文章表現でスペイン語のところがあったりするので、これは作家として色々な国の作家の本を読んでいたから、そこから引用したのかもしれない。が、チェコ人の語学力は総じて高いので、ラテン語の1つでも知っていたら、スペイン語もその一派であるのは間違いないので、単語や表現についてはすぐに理解できたのだろうと想像する。

特にスペインの芸術や文化面に関する知識と着目点は注目するべきところだ。この着目点は実は現代のガイドに載せても全然遜色ないような中身になっている。やっぱりさすが作家だけあって、表現力が豊富だし、この本の原本が発行されたのが1930年であるが、それから既に80年以上経過しているのにも関わらず、いまでも書かれている状況が目に見えそうなくらい生き生きとしているところがすごい。そしてこれはスペインに行ったことがある人だったら誰でも感じるスペインのアグレッシブな人間性と陽気さと文化程度の洗練さというのを、カレル・チャペルは自国と対比をして、それをわかりやすいような表現で述べてるので、おそらくこの本を読んだチェコ人は、なおさら南欧への羨望は強くなったことに違いない。特に闘牛の場面については、闘牛の文化が無いチェコなのに、闘牛に対するスペイン人の思いについてもどこでどう仕入れて知ったのかわからないが、スペイン人に理解するような表現が目立つ。

そういえば、チェコは30年戦争が勃発するくらいの、バリバリのプロテスタントの地域である。スペインは反対に、バリバリのカトリックの地域である。だから、プロテスタントの人たちにとって、カトリックのひとたちの行動や考え方については、あまりにもいい加減で、あまりにも好き勝手すぎるという考えがあったに違いない。しかし、カレル・チャペックはその考えを一切捨て去って、カトリックだからとかプロテスタントだからとか、宗教色についてはあまり言及せず、結果的には宗教要素があったとしても、宗教を全面的に表現するための手段に使っておらず、あくまでも宗教はそれを信仰しているひとたちの内面から出てくるものであるということを前提に記載しているところが面白い。プロテスタントのひとからみて、カトリックの何でもありという様子は実はおおらかな人が出来るという意味ではあんまりそわそわした様子がまったく見られないので羨ましく思ったのだろう。

カレル・チャペックの柔らかい写生的な表現は是非他の旅行記を読んでみたいと思う気持ちになる。そして、彼が書いた挿絵もあるのだが、ささっとラフスケッチしただけの様子なのに、いまでもそれがアニメーションとして動き出しそうなくらいの表現力はさすがイラストレータとしての顔も持っているところだというのがよくわかる。そういう絵を描こうとしたときには、その場面を見たときの彼の感情が文章として表現しているため、挿絵を見ながら文章を読むと一段と理解できると思われる。

とにかく、彼にとってスペインへの旅行は行きぬきでもあり、重く苦しいナチスが台頭しようとしているドイツ・チェコ・オーストリアという中欧とは違う雰囲気を持っているところであることは感じ取ったようだ。たぶん、最終的には故郷のチェコには戻りたくなかったのだろう。なぜなら、その後、彼はゲシュタポに追われることになるからだ。

スペイン旅行記―カレル・チャペック旅行記コレクション
原題:Výlet do Španěl
著者:カレル チャペック(Karel Čapek)
出版社 : ちくま文庫
発売日 : 2007/03


海山(熱海)

熱海から帰るときに立ち寄ったのが、駅傍のビルに入っている店「海山(みやま)」である。夕方は17時から開店しているのだが、この店、こんなところに人なんか来るわけ無いよーという感じだろうと勝手に思っていたのだが大間違いだった。別にふらっと寄ったわけだし、開店と同時に「入って良いですか?」と頼んでみたら「いいですよー」と気さくな返事をもらったので、そのまま店内に入ったのは良い。しかし、この店、地元ではかなり有名な店のようで、18時の段階で予約のひとも含めてほとんど満席になってしまっていた。地元のひとは、飲兵衛のオッサン連中だけが来るところかと思っていたら、そうでもなく、家族連れのひとたちも結構いたので、それだけ美味いところなのだろうというのは期待できるのだ。
この店はもともと魚屋を兼業しているようなところなので、魚に関しては自信があるのである。メニュとしては、定番のメニュも用意されているのだが、その日の港に揚がったものを使った特別メニュも用意されているようである。しかし、メニュはめちゃくちゃたくさんあるというわけじゃない。が、はっきりいって、どれを頼んでも最高の料理が来ることは間違いない。金と胃袋に余裕があるのであれば、全種類を注文したかったくらいである。しかし、少人数で全部を制覇するのはさすがに無理だった。

たまたま隣りのテーブルは予約ではあったのだが、釣りをしているひとたちが帰りに寄っていっているようであり、頻繁にこの店を使っているようだった。お店のひとも客に対して、頻繁に来ているバーの人たちみたいに気軽に話をしているのだ。しかし、やっぱり車を運転しているひとが1人いるみたいで、その人以外はへべれけになるくらいまで飲んでいた。あれは最後にどうなったのか気になる。それでも飲み中心の人たちでも、ここでは食べ物をしっかりと注文していて、飲みのためのつまみという位置づけで料理を頼んでいる様子ではなかった。

今回注文したものは下記の通り。

・金目鯛の煮付け:2,860円
・かさごの唐揚げ:2,625円
・しらす丼:1,260円

金目鯛は昼間も食べていたのだが、今回は勝手に金目鯛オールにしようと思っていたので、昼間は昼間、夜は夜と割り切って頼んでみた。そして、おそらく昼間と同じような程度だと思っていたのだが、これがぜんぜん違っていた。大きさがまず全然違うのである。こちらのほうが大きい。そして、煮付けのタレが濃厚なので、酒飲みがつまみとしてこの煮つけを食べるにはすごい味が合うものだった。お店でもお勧めメニュに載っているものだから、是非頼んだら良いとおもう。
その次に頼んだのは、かさごの唐揚げ。かさごの唐揚げは、実は二種類あって、半分のサイズと丸々1個のサイズがある。ここはやっぱり丸々1個を頼んでみたいところだ。かさごというと、どうも堅い殻とバサバサの白身というイメージを勝手に思っていたのだが、これが全くウソ。殻もすべてバリバリ食べられるくらいの揚げているので、顔を含めて全部食べられるのだ。中の太い骨も食べられるので、ここは是非部位に限らず全部食して欲しいところだ。
そして、もうちょっとお腹を満たしたいとおもったのであれば、シラス丼を頼んでみるのもいい。このどんぶり、吉野家あたりのケチな大きさでは全然ない。相撲取りが優勝のときにのむ杯ほど大きいものではないのだが、結構丼としては大き目のサイズのものに入っているため、それだけで「うわっ、多い」とおもうに違いない。が、そこはご飯で底上げしているというのではなく、しらすがタップリ乗っかっているので、それの量が多いために大きなどんぶりにしないといけないという理屈が分かる。そして、あのちょうど良い塩気で茹で上がったシラスをご飯と一緒に掻き込むのはなかなか男っぽい料理だろう。もちろん、酒飲みの人にとっては、こういうご飯モノは縁遠いことに違いない。
 
どれもこれも美味いと思った料理だったので、また熱海に来たのであればここに寄りたい。

海山(みやま)
住所:静岡県熱海市田原本町8-12
TEL:0557-81-2691
URL : http://r.gnavi.co.jp/n980326/(ぐるナビ)
       http://tabelog.com/shizuoka/A2205/A220502/22019677/(食べログ)
営業時間:11:00~15:30
     17:00~20:30(L.O.19:30)
定休日:月曜日(祝日の場合営業)

起雲閣(熱海)

南海鉄道やのちに経営に手をだしていく東武鉄道などの鉄道王になった根津嘉一郎の邸宅として造られたのが、この熱海にある起雲閣。その後、いろいろと所有者が変わったことにより、一時期企業の別荘になったりしていたのだが、2000年までは熱海のなかの名旅館として数多くの著名人が宿泊するほどの建物になった。その後は、一般開放する形で、いつでも誰でも見学することができるようになっている。建物は建築当初から比べるとかなり建て増しと建て直しをしているのは否めないのだが、熱海の名旅館として名を馳せていたときの様子はいまでも顧みることができるところだ。
入館すると、いちおう「順路」というものがあるので、それに従って進むと良いのだが、最初にこの起雲閣の歴史をパネルで説明してくれるところからはじまる。館内に常駐している係員のひとがこの建物の歴史と特長について説明をしてくれるのだが、別に聞きたくなければさっさと次のところに出て行くのも良いだろうが、せっかくだから説明だけは聞いてあげて欲しいと思う。おばさんがウダウダ言っているなーと思うだけなのであれば、この説明をうけている部屋全体を眺めているだけでもかなり勉強になる。なぜなら、その部屋は壁や天井に群青色で埋め尽くされており、これは加賀藩の前田家が好んで使っていた色であり、所有者の1人である、ここを旅館として始めた桜井兵五郎の出身が金沢出身であったことに彩かって、建物の一室を替えたことによるものだ。最初の所有者、根津嘉一郎が作ったわけじゃない。しかし、この色で埋め尽くされた部屋というのは、紫とは違うし、藍色とも違う色なので、とても落ち着いた感じがするし、高貴な感じもする。こういう部屋にいると落ち着くかどうかはわからない。
次に、洋館「玉姫」は、これぞ洋館とも言うべき、どこを採っても溜息がでるばかりの内装であり、一つ一つ職人が丁寧に仕事をしている証拠だとおもう。格子型で埋め尽くされている天井もすばらしいのだが、格子の細かい細工についてもジッと凝視すると、その丁寧さに吃驚することだろう。また、暖炉がある風景がこの部屋にとてもマッチしているではないか。床のモザイク模様についても、これは箱根細工を思い起こさせるようなデザインであるところも面白い。ちなみに、この部屋は、宮大工によって作られているために、釘は一本も使われていない。すべて臍と噛むことで造られているために、柔軟性に富み、強固なつくりになっているのである。
 
 
洋館「玉渓」のほうにいくと、今度は山間部にある高貴な人の別荘の内装というような感じが汲み取れるような雰囲気の部屋に出た。暖炉が石造りではあるが温かみのある形に仕上がっているところがそう感じさせるのだろう。それだけじゃなく、電燈の部分も丸井シャンデリアのようにもなっているのも面白いし、窓枠についても、細かい装飾がついているところがおもしろい。この部屋だけでどれだけ金を掛けていたんだろうというのが気になるところだ。
洋館「金剛」も似たような暖炉のある洋室になっているのだが、こちらのほうがどちらかというと落ち着きが無い。しかし、ここは根津嘉一郎翁が作らせたところでもある。
ローマ風浴室は大浴場になっているが、ここが以前は普通に使われていたところだと考えると本当にそうだったのか?と今だから気になってしまうものだが、当時はここの宿泊客だけとはいえ、一種の裸の付き合いが出来る場所だったことはいうまでも無い。ただ、芋洗い状態になるような混みようは無かったことだろう。ステンドグラスが見事であることと、タイル式の床および浴槽は、昔のお風呂ではよく見られたスタイルである。
 
和館「孔雀」のほうにいくと、伝統的な日本旅館のつくりがそのまま持ち込まれているものになるため、どちらかというと、個人的にはこのような和室つくりのほうが落ち着く。背伸びするようにして無理やり西洋化したような部屋は日本ではあまり泊まりたくない。この孔雀の部屋は赤を基調とした落ち着いた雰囲気のある部屋であるため、こういうところに数泊するのはリフレッシュするという意味では良いところだろう。ただし、金があれば・・・の話。

喫茶室もこの中には存在する。時間帯にとっては満員状態なのだろうが、閉館時間間際に行くと人がまばらになるので丁度良いかもしれない。当時はここはラウンジとして使われていたところだろうが、そのまま現代でもその雰囲気は感じられる。高い天井とゆったりとしたソファが良い。また、ここでは、熱海名物の「ラング・ド・シャ」も食べられるので是非頼んでみたいところである。
そして、最後はなんといってもこの建物が囲んでいる広い庭を眺めることをお勧めする。春夏秋冬で季節ごとに絵になる庭は、どこの建物からもよく見えるようになっているため、宿泊者は楽しんだことだろう。1階の部屋に泊まった客は、自分の部屋から庭にそのまま出られるようにもなっていたのえ、気軽に庭園散策が出来たことだろう。ただ、この庭園は、あまりにも殺風景なところもあるのだが、そこで何をしたら良いのかというのは、個人的には風情を感じられなかった。
 
 
 
 
起雲閣(熱海市役所内のサイト)
URL : http://www.city.atami.shizuoka.jp/page.php?p_id=893

来宮神社(熱海)

来宮神社はJR来宮駅から歩いていける範囲であり、改札口を出て熱海方向に戻ったあと、線路のしたを潜ったところに存在する。ここの神社は、実はかなり古くから存在している神社であり、歴史でも習ったことがある征夷大将軍の坂上田村麻呂が勝利を神前で祈願したところでもある。なにしろ、ここに鎮座している神様は、日本の神様のなかでも有名人物の三体が祀っているのである。大己貴命(おおなもちのみこと)こと大国主命、素戔嗚尊(スサノオ)の子の五十猛神(イソタケル)、そして日本武尊(ヤマトタケルノミコト)だ。現在の日本国の基礎を作ったといわれてるこの三体がいるから、坂上田村麻呂もやってきたのだろうと思う。
 
 
 
この神社の見所は2個だ。

1つは境内にある大楠の木。幹の回りだけで24メートルもあるもあり、その幹の周りを1周すると1年寿命が延びるとか、願いごとが1個適うといわれているものだ。この不景気の世の中では「金持ちになりたい」という欲望しかもっていない人が結構来ているようで、楠の木の周りをぐるぐる廻っている、金持ちになりたそうな下心バリバリのおっさんやおばさんが結構いたりしたのが見られた。寿命が延びたいというような願いごとを最近の人は思うのだろうか?よくわからない。もちろん、彼氏が欲しいとか、受験で合格をしたいというような祈願のために来ている人たちも結構いる。そういうのは奉納している絵馬を見れば、どういう人たちがきているのかというのがよくわかるというもの。なお、この大楠の周囲を回るのは右回り・左回りはあまり関係ないみたいだが、左回りで回るひとが多いようである。
もう1つの見所は、この神社の名前が「きのみや」なので、「忌の宮」とも読まれ、何かを止めるために祈願するという人も結構いるという。一番多いのは禁酒。そして、次が禁煙だ。神頼みしないといけないというほどの意志の弱い人たちばかりがやってくるところでもある。いまどき、「神様に誓うことで願掛けをする」というような人はいないだろう。だから、禁酒・禁煙を神様に依存してやめられるようにしたいとおもっている人たちばかりなのだといえよう。実際に祈願する種類の1つにも項目が出ているので、確認して貰えればいいわけだし、絵馬を見ればそれは分かると思う。しかし、なにかを止めるという意味では正解かもしれないが、この絵馬の願いごとは一体なんなんだ?!


来宮神社公式サイト
URL : http://www.kinomiya.or.jp/

2013/01/25

熱海梅園

熱海の紅葉の名所は2箇所。そのうち広大な用地があって、1日いてもいいくらいの場所があるが、それが熱海梅園である。しかし、この熱海梅園に行くには、高台の上に存在しているために、歩いていくのはちょっと面倒くさい。そこで熱海駅から東海バスの「相の原団地行き」に乗って行くのが一番良いだろう(熱海駅発の時刻表はこちら)。バス停も「熱海梅園前」というのがあるから、そこでバスを降りれば目の前がお目当てのところである。もちろん、車で行く人も駐車場が用意されているので、車で行くのも良いだろうが、ここではまったく車で移動することを考えないことを記載したい。

熱海駅からのバスは海岸沿いを通ったと思ったら、いきなり山間部のほうにバスは移動して、熱海の町は本当に坂道の多いところだなというのが本当によくわかるところだ。その坂道をどんどん進んでいって、そこまで上っていくんだろうと思っていたところに、15分くらい乗っていれば熱海梅園に到着する。バスはそんなに頻繁にくるわけじゃないので、帰りの時刻くらいは事前に調べておいたほうが良いだろう。熱海の隣り駅の来宮駅までは、なんとか坂道を歩いていけば歩けないことも無いところであるが、熱海駅まではさすがに遠い。

バス停でバスを降りたら目の前が熱海梅園である。特に入場料はここでは不要である。無料でこんなところを散策できるなんて、新宿御苑は見倣ってもらいたいものだとおもうが、手入れをするひとたちにも費用が掛かると思うので、その費用はどこから算出されているのかよくわからない。

熱海梅園自体が丘陵地に造られているために、この中を歩いているだけで、かなりの高低差を移動していることになる。そして、敷地面積が御苑の2倍以上はあると思われるくらいの大きさなので、実はやろうと思えば、1日ここでのんびりするということも可能である。名前が梅園ということになっているが、秋の季節になると点在ではあるが紅葉樹が一斉に赤・黄色・橙というカラフルな色をつけるのが見られる。今回はそれを見に来た。狭い範囲に一斉にカラフルな紅葉樹が立っている様子もまた趣があるものだが、注目を浴びるためのように立っている紅葉樹が点在しているのも、また違う楽しみができるものだということが改めて感じた。
 
 
 
 
 
 
熱海梅園は平坦ではないことは述べたのだが、庭園内に滝はあるわ、庭園内家屋はあるはでなんだか1つのテーマパークのように思えるところ。ここでは2つの建物が存在する。1つは朝鮮系の建物とその説明、もう1つは作曲家・中山晋平の移設されてきた住居が存在するのである。

朝鮮系の建物の展示に付いてはどうでも良いと思っている。いちおう貴族だった家屋をこちらに移設してきたものが展示されているが、これは日韓友好の交流の印として韓国から送られてきたものらしいのだが、この家屋、本当に貴族が住んでいたような家なのかというのは疑問である。所詮、朝鮮貴族なんていうのはどこまで金をもっていたのかは知らないのだが、キムチドラマに出てくるような朝鮮貴族を想像すると金持ちのようにも見える。が、実際にこちらにおかれている家屋をみると、日本の農家の家よりも断然小さく、江戸のような密集している町人文化に存在するようなくらい小さく粗末な建物だからだ。実際に朝鮮貴族の家はこれくらいのものが普通だったんだと思う。それをドラマは誇張表現しなければ貧相で惨めなドラマになってしまうために、カラフルでダイナミックなつくりの家にしているんだろう。だから、本当の朝鮮文化を知るためにはこういうところに来るべきだと思う。そして、キムチドラマの中のものはすべて「ウソ」であり、あれが本当の朝鮮文化であるということは、中国・朝鮮がウソで塗り固められた文化と教育であることの典型的な宣伝であるということを認識するべきである。

しかし、そんな朝鮮関係の展示の中で、日本人として知っておくべきことでもあるし、当然朝鮮人には絶対知っていて貰わなければならない女性の碑がここにはある。それは日韓併合後の日本で、朝鮮系女性で初めて飛行士になった朴敬元女史のことである。うまれは朝鮮半島であるのだが、1910年の日韓併合後は純粋の日本人と同じような扱いをもちろん朝鮮系だろうがされることで、日本の航空学校へ入学し、二等操縦士として免許を取得することに成功する。免許取得後の1933年に祖国の地に向かって長距離飛行をするために羽田から大勢の見送りをあとにして飛び立ったのだが、激しい気流に巻き込まれて熱海市街にある山頂の付近に激突し墜落死した。地元の人によって荼毘にふされ、翌年墜落現場に慰霊碑を建てたということがあった。日本側の地元では有名な話だが、これは韓国では「売国奴」とか「日本に魂を売った女」として必ずしも英雄扱いもされていないし、むしろそんな人間が存在していたこと自体すら忘れさせるような風潮が実はある。1910年以降の朝鮮人は全員日本人になっているわけであり、誰一人として非日本人の朝鮮人は存在しない時代のことを、韓国人はいつまでも歴史的認識をめちゃくちゃにして、すべて「現在の韓国・朝鮮が正しい」ことを機軸として歴史展開をしてくるから訳がわからなくなるのである。日韓首脳会談が2002年に行われたときにもようやく韓国側の大統領がそういう事件があったことを認識するくらいだったので、韓国側では本当に知ってはいけない事実ということに勝手に歴史歪曲をしていたようだ。韓国人は日本に観光に来るなら、こういう正しい歴史が行われているところを積極的に訪問すべきだと思う。
中山晋平の住居跡のところにいくと、まずはピアノが数台置かれていることが目に付く。この中から、いわゆる童謡と呼ばれる分野に数多くの曲を発表した中山晋平の曲が生まれたのかと思うとなんだか感慨深い。だいたい中山晋平の曲って何があるの?というような人は、ちょっと小学校に戻ったほうが良いとおもうのだが、「しゃぼんだま」とか「カチューシャの唄」なんかは全部彼の作品。建物の中には童謡を作ったときの原本になる譜面が置いてあったりする。しょ、しょ、しょーじょーじ♪で始まる「証城寺の狸囃子」も実は彼の作品。これ、最初はなにかのCMのために作られた曲かと勝手に思っていたのだが全然違ったことを改めて認識。
それにしてももっと多くの人がこちらに訪れても良いと思うのだが、なぜ紅葉の時期になると、こぞって箱根や高尾山のような人が混んでしまうようなところに行きたがるのだろうか?確かに熱海あたりの紅葉の時期は11月23日あたりの週ではなく、ちょっと遅いために、少し紅葉の時期としては時期ハズレのように感じるのも仕方ないだろう。しかし、人混みが嫌いな人にとっては、ちょっと遠出になるが、時期ハズレの紅葉散策も良いだろうと思う。

熱海梅園まつり公式サイト
URL : http://www.ataminews.gr.jp/ume/

熱海駅発の時刻表
URL :  東海バスの時刻表

囲炉茶屋(熱海)

東京よりは暖かいために、紅葉の時期も東京より2週間くらい遅く始まるのが熱海・伊豆エリア。だから、12月に入ってからのんびりと時期外れの紅葉を見にいこうかなとおもった今回は、熱海にぷらっと日帰りの紅葉ツアーに行ってみた。レポートとしては年が明けたあとに記載することになったので、遅めのレポートになってしまったため、まったくタイムリーな情報提供ではなくなっている。

熱海に到着したときには昼に近い11時半頃ではあった。ちょうど昼ごはんでも食べてから、熱海の各所に移動するのも良いだろうと思っていたのである。しかし、熱海駅近くの店で、いつも混んでいるという話を聞いたことがある店があったので、今回はその店に、昼の大混雑時間帯を避けるように行ってみようと思ったのであるが、「伊豆熱海・囲炉茶屋」は噂通りめちゃくちゃ混んでいた。

店に到着したときには、偶然にも店内に入ってすぐに座ることができたのでラッキーだとは思ったのだが、店内は団体客ばっかりがほとんど多くの席を占拠していて、個人客で来ているのはほとんど見受けられなかった。特に個室部屋のほうは、もう団体の飲兵衛たちが早い時間帯から出来上がってしまっているのか、多くの料理を前に飲みながら談笑をしていた。団体客といっても、おそらく地元の寄り合いの延長で来ているようなので、店の人たちとも知り合いという感じだった。

店の隅のほうにある、囲炉裏風スタイルの低いテーブルがあるエリアに通された。しかしながら、こちらは2人組だったのに、テーブルは10人くらいが座れる風になっている。どのように座れば良いのかというと、テーブルを挟んで向かい合わせの状態で店側は座らせた。料理としてたくさんテーブルに載せられるからというのも理由なんだろうとおもうが、実はテーブルが縦長に見えるので結構お互いに話をするには遠いようにも思えた。なにしろ、すぐ傍では団体客が宴会をしているのである。その喧しさに会話は消されてしまうのは当然だろう。
今回の昼ごはんで選んだのは次の通り。

・三種干物定食 あじのたたき付き 2100円
・金目鯛の干物定食 1470円

熱海が産地なのかどうかは知らないが、金目鯛がどうしても食べたかったので、1つは金目鯛の定食にしてみた。開きの金目鯛の干物とシラスをメインとした定食であり、金目鯛はそんなに大きなサイズではなかったのだが、味は脂が乗っていて美味かったと思う。ただ、料理が出てくるまではすごーく待たなければならない。待つのも料理をいただくときの1つの間を楽しむものだと考えればたいしたことが無い。待たされてマズイ料理が出てきたら、殴り倒したろかーとおもってしまうのだが、今回はそれは全く無かった。店のひとも「遅れてすみませーん!」というような態度をしていたので、このときは感じの良い店だと思っていた。
もう1つの三種干物定食は、小ぶりの金目鯛、鯵、そして鯖の干物が載っており、それに鯵のたたきが別皿に盛られているものだった。こちらはいろいろな味が楽しめるものであるために、定食として楽しむのであればこのほうが良いかもしれない。また干物ばっかりだと厭きることも出てくるので、口直しに鯵のたたきもあるというのも良いだろう。
さて、食べ終わろうとする寸前頃になって、すぐに店員がやってきて、お盆ごともって帰ろうとしていた。どうやらこの店は混雑している人気店なので、無駄話をして居座ってくれると商売のあがったりになるので、食べ終わったらさっさと会計を済ませて出て行ってくれということらしい。料理は美味かったのに、態度が悪かったので、後味がとても悪い印象を残したことになった。確かに玄関には、昼ごはんをここで食べたいという観光客がたくさん列を成して並んでいたのは見えた。そういうお客さんを早く店に入れてあげたいというお店側の気持ちも分からないでもない。だけど、こちらはちょっとくらい食べ終わったあとの余韻は浸りたいではないか。だったら、団体客として占領しているあの人たちをさっさと終わらせて帰るように促したら良いのにとおもったのだが、団体客からは飲み物も含めて大金をせしめることができるために、あまり「早く出て行ってくれ」ということは言えないのだろう。
店と客との考え方の違いを大きく考えさせられる昼ごはんであった。

伊豆熱海・囲炉茶屋
URL : http://www.irorichaya.com/
住所 : 熱海市田原本町2-6
電話 : 0557-81-6433