2011/03/05

伊藤洋一のRound Up World Now! (Podcast)

テレビでも活躍されているのをたまに見かける伊藤洋一さんは、テレビよりもやっぱりラジオなどの音声で活躍されるほうが伊藤さんらしいと思われる。テレビだと、他の出演者の我が強いために、それに押し切られて伊藤さんが無口になっているように見受けられるときがあるからだ。誰にも邪魔されずに、伊藤さんの良さと博学を披露してくれる番組としてはラジオやポッドキャストのほうが断然良い。そして、経済的なことが中心になって話をしてくれるのだが、それがどんどん派生していって、IT部門や海外の実情なども取り混ぜてくれるから、世の中全部が繋がっているんだなというのが良く実感できるものだ。

そんな伊藤洋一さんの番組として欠かせないのが「伊藤洋一の Round Up World Now」である。この番組は30分間の番組で週1回更新。その内容は結構濃いのだが、1つのテーマに特化せず、この1週間に起こったニュースを、伊藤さんの独断と偏見でピックアップして、なぜそのようなニュースが報道されることになったのかということや、その先どうなることになるのか注目するべきだという観点を説明してくれるので助かる。経済ニュースとその評価番組については数多いが、なかなか満足するような内容を伝えてくれるような番組に出くわさない。

特に「今週のポイント」ではその番組が放送されるまでに話題になったニュースを掘り下げてくれるところだが、ここを聞くだけでもその中の動きがわかるというものだ。

IT関係にも詳しい伊藤さんなので、伊藤さんが持ち歩いているモバイル端末の批評についても聴けるところは面白い。伊藤さん自体が実際に使ってみて、これがもっとこうなったらいいのになーとか、これは使ってみてとてもよかったというのを紹介してくれる。この人、一体何台・何種類のモバイル端末を持っているんだろうと聞けば聞くほど不思議になってしまうのだが、伊藤さんいわく、「ソフトバンクはダメだなー。電波はドコモで端末はiPhoneというのが一番便利だ」と述べている。その通りだとおもう。

この番組、実は一時期存続が危ぶまれたときがあった。それまでは富士通がスポンサーとしてついていたのだが、あるとき、富士通がスポンサーから離れてしまい、スポンサー無しにしばらく放送をしていたという特殊な経歴を持つ。しかし、そのあと、現在ではソフィアデジタル社がスポンサーになったことにより、安心して伊藤さんの現状の考えが毎週聞ける体制ができたと言えよう。

まぁ、伊藤さんが自分でポッドキャストを行えばいいのだが、なかなかそこまで無料でやろうと言う気にはならないのだろう。

そういえば、ラジオNIKKEIで放送されているものをポッドキャストとして流しているため、アシスタントとしていらっしゃるかたは、「こちカブ」にも出演している岸田恵美子さん。経済ジャーナリストなので、伊藤さんの話に関しても、こちカブの中での話しに関しても、的確にフォローするようなアシスタントぶりには、聞いていてなかなか凄い人だなと思った。こちカブのことをここでは取り上げるつもりは無いのだが、伊藤さんのような話題が発散するような人の会話においても、いちおう設けた番組の段取りで進めるように調整しているところが凄いと思う。

木曜日の夜にデータが更新されているので、翌朝の金曜日の通勤時間帯に聞くことで、1週間の世の中の動きを整理して知る手段としてよいツールだと考えていいだろうと思う。

伊藤洋一の Round Up World Now
http://www.radionikkei.jp/roundup/

安住紳一郎の日曜天国 (Podcast)

TBSラジオで日曜の朝10時から11時55分まで放送している「安住紳一郎の日曜天国」は正直生放送として聞いたことが無い。その時間帯にラジオを聴くような環境にいないからというのが原因なのだが、番組の一番面白いところだけをピックアップして、それをポッドキャストとして放送しているために、あとからでも電車の中で聞くことができるため、とても便利だ。

TBSのアナウンサーの安住紳一郎氏はテレビでは良く見かけるので、どういう人かわかるし、実際に映像つきで出演しているときでも、キャラクターが濃いひとで、自分大好きというのを全面的に出している人だなというのはわかったのだが、ラジオという音だけの世界になったときにはさらにそれを強く感じることができた。やはり映像だと、顔の表情、体の態度で表現できるのだが、ラジオだと音しかその表現方法が無いため、結局は留まることなくアナウンサーの良い声で弾丸トークをするしかないのである。

だから、安住さん大好きーというようなファンがいるとすると、これほど安住ワールドをまとめて聴くことができる番組は他には無いと思うので、ラジオやRadicoで生放送を聞くのもよしだし、ポッドキャストであとからダイジェストだけ聞くのも良いだろう。

だが、この番組、安住さんの独走で成り立っているというわけではない。アシスタントの中澤さんの笑いと安住さんをたまには黙らせてしまうツッコミも聞き所だろう。安住さんの毒舌トークに対する良い毒消し役に徹しているところも、朝の爽快感を和ましてくれる。

どちらもアナウンサー(正確には中澤さんは元局アナ)なので、言葉に対する指摘は厳しい。鼻濁音の回が一番面白かったのだが、鼻濁音が出来ないというリスナーに対して、公開指導をしていたのがなんともほほえましい。教えているところが面白いというのもあるが、アナウンサーならではの指摘や情報を伝えているところは勉強になる。鼻濁音を使うときの法則と言うのは決まっていて、自分では何気なく使っており、あまりその違いというのを論理的に説明しろと言われてもできないのだが、言葉という表現を使って正しく鼻濁音を説明されていたのが素晴らしい。また、自分は鼻濁音というものを普通に使っているが、鼻濁音が出来ない人も中には存在するということも知ったのも衝撃的だった。鼻濁音が出来ない人が話す濁音は、妙に汚らしいと聞こえていたのは単なる印象だったのだが、その理由が安住さんの説明で分かったのは勉強になる。

2010年の3月から始まったインターネットを使ったラジオ生放送のRadicoについても、実は知ったのはこの番組である。いままで電波でしか聞けず、ラジオ受信機を持っていないとだめだったラジオ放送を、ネットがあり、本来の聴覚可能地域に合致していれば、電波と同じようにまたは電波よりもクリアに同じ時間帯にラジオ放送が聴けるというもの。これまではどこぞの「良い人」が海賊的にラジオ放送をデジタル化してネットに垂れ流ししていたというものを、放送局が自力で実現したところに意義がある。さらに、このRadicoが開始されるときに、安住さんは面白いことを言っていた。「Radicoはこれまでのラジオの常識を全部塗り替えてしまうかもしれない」ということ。つまり、これまでのラジオというのは、運転手、受験や試験勉強生などには聞かれていても、あまりそれ以外の人種には一般的ではなかった。それがモバイル端末と直結することになり、ラジオが身近なものにまた戻ってくることにより、重要なメディアの1つになるだろうという警鐘。これはその通りだとおもう。

ポッドキャストで提供されるところは、全番組内の内容を放送しているわけじゃなく、さらに音楽のような著作権が関わるところについては対象外になっている。全番組内のコーナーをポッドキャストにすれば良いと思うのだが、それだと番組を全く生放送で聴く人がいなくなるからという思いで設定していないのだろうと思うのだが、電波放送だけが放送なのだろうかというのを本当に気になる。中継媒体が電波になるのかネットになるのかだけの違いであって、放送内容は同じでいいのではないかと思う。それはおそらく電通のような広告媒体がまだどのようにCM徴収を設定したら良いのかという確立が出来ていないからなのだろう。全番組を聴きたいのであれば、生放送のラジオかRadicoを聴けとリスナーに上から目線で訴えるのはやっぱり可笑しい。いかような媒体であっても、それはリスナーが聞く権利として提供すればいいのだろうとおもう。なにしろ、1つのコンテンツを作れば、それを別の媒体に垂れ流すことくらい、製作時間に比べると断然楽だからだ。楽なことを無視してやらないのは、放送局の怠慢以外に何者でもない。

せっかく安住紳一郎の日曜天国がポッドキャストの番組の中でもダウンロード数が高いほうにあるのだから、こういう番組が率先して、ポッドキャストを単なるダイジェスト版として扱うのではなく、本放送と同じ位置づけにするように工夫をしてもらいたいところだ。

安住紳一郎の日曜天国
URL : http://www.tbs.co.jp/radio/nichiten/

スペイン語に関するPodcast

スペインを旅行する前に、少しはスペイン語が分かればと思ってポッドキャストを聞いた最初の番組は、前にも記載した「聞くスペイン語」なのだが、これは映像としてみるものであり、映像の中のオッサン2人の演技が面白かったので、結局スペイン語を1語たりとも覚えずに渡航してしまった経験がある。ポッドキャストとしての番組は面白くていいとおもうが、語学学習者にとってはあまり面白みを感じないだろう。そして、特にスペイン語を話せたらいいだろうという意欲も、スペイン渡航後はもう不要なので、どちらかというとスペインのことを知りたいなと思うようになった。

スペインはヨーロッパの中でも面積は広いほうで、日本人観光客としても人気の渡航先のひとつだとは思うのだが、今ひとつ、スペインのことをあまり知らない。大航海時代にスペインはポルトガルと並んで、世界のあちこちに出没し、数々の文化を残していった立役者なのだが、そのあとはイギリスとフランスが台頭してきたことにより、すっかり歴史の中では南米以外にスペイン色を見ることがなくなってしまった。

なのでいまさらスペインの文化を知ろうとすると、スペイン料理屋や伊勢志摩のパルケ・エスパーニャくらいしか見当たらない。そこでポッドキャストで何か無いかなと探していたところ、あったあった。語学に特化せず、スペイン全般に関して情報番組として提供しているのが「スペイン語のあれこれ」と「よろず屋スペイン」である。

「スペイン語のあれこれ」も「よろず屋スペイン」は、メインキャストが男性2人のポッドキャストではあるが、どちらも日本人とスペイン人で構成されている。スペイン人のエミリオさんは、どちらの番組にも登場しており、日本語がめちゃくちゃ堪能な人。日本のアニメをスペインに紹介しているような仕事をしているために、日本の文化に対してはかなりよく知っている。日本人キャスタのほうは、両番組では違い方が登場しているのだが、どちらに登場するかたも、めちゃくちゃ面白い人たちである。淡々と情報を伝えるというのではなく、たまには下品に、たまには高尚になったりするところを、そのときの流れでうまく話しに展開しているところが、聞くほうものめりこんでしまう魅力なのだろう。

さて、両番組の違いというと、「スペイン語のあれこれ」のほうがスペイン語学習者向けの番組つくりになっており、「よろず屋スペイン」は、スペイン文化・経済・政治に関する少し高い教育に関わる情報を流している番組である。どちらも30分から45分くらいの結構長めの番組になっているのだが、これが全く聞いていて飽きないというところが面白い。

「スペイン語のあれこれ」は「ジモティーのスペイン語」で、1つのスペイン語の単語に特化して、その単語を使ったいろいろなモノの言い方を紹介するというもの。辞書的な言い回しだけではなく、スペイン標準語において現在良く使われたりする表現や、本来の意味から段々離れて、面白い使い方になってしまったというような表現と言うのを知る事が出来る。

さらに漫画の中のスペイン語がまた面白い。日本の漫画をスペインに紹介しているだけあって、日本のアニメや漫画についての知識はエミリオさんは半端無くよく知っている。最近の漫画よりも、昔からよく知られている漫画についてのほうが、スペインでも人気になっており、これがアニメになってそれから漫画になるというのが多いのだが、これまでは漫画を見るのは子供だけで、大人は見ないという常識を、日本の漫画がまるっきり変えてしまい、大人でもアニメや漫画をよく読むようになったというのを聞いたのは、たぶんこの番組で初めてなのではないかと思う。漫画を読んでいるのは馬鹿で無知で、階級が低いものというのが定番で、漫画を読んでいることを他人に知られることを恥だと思っているヨーロッパ人が多かったために、漫画に関することがヨーロッパではあまり広がらなかったらしい。だが、スペインが今ではヨーロッパの中で日本のアニメや漫画が一番情報として入っている場所であることは確かで、でも、それも日本の報道ではフランスのほうが凄いというように報道されていることが実際の違いである。日本のアニメや漫画がスペイン語になったときに、有名なセリフや登場人物が、どのような形で表現されているのかというのを番組の中で紹介しているところは、トリビアとして知っていることはいいことだろう。

最後はスペインの祭りの話題だ。スペインは国土が広く、かつては4つの王国に分かれていたことも在り、日本と同様に地域色というのはとても強い。だから、祭りに関してもかなり数多くの奇祭があったりするのだが、それを毎回いろいろな地方の祭りとして紹介してくれるので、自分がスペインに行く時期に合わせて体験できる祭りがあるのであれば、それは参考にして聞いてみるのがいいだろう。祭りが起こった背景や祭りが実際に行われているときの様子についても紹介されているからだ。

かわって「よろず屋スペイン」のほうだが、これはまずは政治的な話題から入る。話題としては面白いのだが、政治や経済ということになると多少の毛嫌いや抵抗感が出てきたりするので、聞くのが嫌な人も要るだろうが、生のスペインとスペイン人が普段考えていることが聞けるので、個人的にはこちらの番組のほうが実は好きだったりする。特に以前フランコ政権時代の話が出てきたときには、あまりフランコのことを知らなかっただけ、フランコが死んでしまったときのスペイン全体の動きがどうだったのかとか、当時の報道はどうだったのかというような内容が良く伝わった。そのあと、Youtube でフランコが死んでしまったときのテレビニュースの映像を探したのは言うまでも無い。

番組の中の「スペインクロニクル」は、スペイン文化全般についての話。文化といっても歴史的な事実についての検証をするような話題が多い。だから、大航海時代で世界にスペインがどのような貢献をしたとか、カトリックの話とか、少し頭を使わないといけないような内容が結構濃く伝えているから、あとで何度か聞きなおしてみるのもいいかもしれない教材だと思う。

最後がスペインカルチャーは、スペイン人の生活全般に関わる話題である。これもスペインに生活しているひとであれば普通だとおもうようなことも、実は日本に居れば、へー、そんなこともあるのかーという驚きの発見ができるものなので是非参考に出来る。

両番組はあまり更新頻度が高いわけじゃないのだが、これほど濃い内容の番組は無いのではないだろうか?

スペイン語のあれこれ
URL : http://arekore.edoblog.net/

よろず屋スペイン
URL : http://yorosupe.blogspot.com/

Chocolat (Podcast)

Chocolat!フランス語ポッドキャスト」はフランス語を勉強している人やフランスが大好きな人にとっては、フランス語圏に関する情報が毎週いろいろな話題とて提供される。そして、毎回各界で活躍している日本人またはフランス語話者をゲストで招いて、日本語だったりフランス語だったりでインタビューをしているが、その中でフランス語として重要なフレーズを紹介してくれて、フランス語としての基本的な表現の復習ができるようになっている。

一番いいのは、あまり日本では情報として入ってこないフランス文化圏の最新の情報が入ってくることだろう。もちろん、白水社の雑誌「ふらんす」のような老舗のフランス語専門雑誌て日本語でフランスを身近に感じたり、または Paris Match のような最新フランス雑誌を読むのもいいだろうが、これはすべてフランス語。いずれにしろ目でフランス語を知るという手段しかなかったところを、耳からフランスとフランス語を感じるところに違いがある。

番組は全部できっかり12分。それ以上超えることもないし、下回ることもない、よく編集されたものだ。それは提供しているのが御茶ノ水にある日仏学院とスポンサーに在日フランス大使館が付いているからだろう。

司会のNanaさんとカナダ人のボブさんの軽快な掛け合いが面白い。たぶんすべて台本があらかじめ用意されており、それを素直に演技しているだけなのだろうというのは分かる。ボブさんはカナダ人だが、フランス語圏の出身なのでフランス語を母国語としており、なお、この方、たまに番組の中では見えないのだが料理をしていることをよくやっている。番組の中ではほとんど日本語で話をしているのだが、フランス人とのインタビューではフランス語で話をしている。Nanaさんは、フランス留学経験者であるため、もちろんフランス語はご堪能。先に記載した、ボブさんの料理のときに、ボブさんはフランス語で話をして、それをNanaさんが日本語で相槌を打つというような奇妙な会話が出てきたりするところは秀逸。

日仏学院がサポートしているために、番組の中で出てきたフレーズやさらにもう少し勉強したいなと言うひとには、会員になればPDFファイルとしてフランス語を勉強できるテキストが毎回配布されてそれを享受できる。やはり耳で聞いて、それを文字で確認する作業は必要な人は要るだろうから、会員になってみるのもいいだろう。

番組の最後は、フレンチポップで終わる。毎回違う歌手の曲を紹介されるので、フレンチポップとしていまどのような曲が流行っているのかというのを知るにはいい機会だろうとおもう。しかし、本当に最新の曲を紹介すると言うわけではないので、それは別の手段で情報を仕入れるべきだろう。なにしろ、このポッドキャストを聞いている人の年齢層がいまいち分からないので、あまり若い人向けの音楽ばかり取り上げると嫌がられたり、反対に、昔のシャンソンのような曲ばかり紹介するのも懐古主義的でつまらないからだ。

単なる文法だけを紹介するポッドキャストが多い中、幅広いフランス文化を紹介する数少ないポッドキャストだと思うので、是非これからも続けて欲しい。ただ、個人的には12分という長さは少々少ないような気がする。チョイ出しのほうが、長く聴いてもらえる可能性は確かに大きいと思うが、フランス文化をもっと知りたいものにとっては、もうちょっと知りたいなという欲求が強くなることだろう。これを期に、自分でフランス文化圏の情報を自分で探してしまうということをしてもいいかもしれない。

Chocola!(ショコラ)
URL : http://fr-chocolat.com/

桜川マキシム(Podcast)

旅行でも経済のことでもないポッドキャストの番組はほとんど聴かないことにしているのだが、トリカゴ放送が iTunes で紹介されているサイトに「この番組を聞いている人は、他のこのような番組を聴いています」と宣伝しているのに目が入った。いわゆる相互リンクの形になっているのだが、その中でちょっと聴いてみようかなと思っていたのが「桜川マキシム」である。トリカゴ放送の中でも、たまにヤマモトさんが桜川マキシムのことを話していたことも思い出したので、どういう番組なんだろうなと気になっていた。

ご本人達も番組の中で述べていたのだが、この番組はきっと聞いている人による良し悪しが綺麗に分かれるところだろうと思う。

素直な気持の人、心が綺麗過ぎる人、世の中何も知らない人にとっては、メインキャスタのお二人のうち、JUSさんがだいたい話を進めて行く人で、ぎゃささんがそのJUSさんの話をフォローしたり、賛同したり、話を膨らませていくようなことをサポートしたり、はたまた暴走しそうなときに綺麗なブレーキをかける役割を演じているという意味では、両者の番組内の役割が分かりやすくて聴きやすい。

先に番組を聞いている人の評価が二分するというのは、聞いている人の取りようによってはJUSさんの意見が強すぎるために、自身が漠然と思っている意見とぶつかるために嫌悪感が出てくる人も居るのだろう。逆に、なんだか釈然としないなー、でもそれって何だろう、表現するのが難しくてもどかしいと思っていた人にとっては、JUSさんの指摘や意見というのが、まさしくその点だ!とぴったりくることにより、共感を得るところが多い人もいるのではないだろうか。

簡単にかけばJUSさんは毒舌口調で、毒蝮三太夫のように他人を蛆虫的に扱うように聞こえるかもしれない。ただ、それはJUSさんの意見を素直に述べているだけなのであって、決してJUSさんが宗教の教祖というわけじゃないのだから、意見をすべて聞き入れて従うとか、すべてを拒否するという両極端な態度をする必要はなく、世の中いろいろな意見を持っている人が居るんだなという、心大きな気持ちで聴くことがいいと思う。

話題としては、あまり政治・経済的なことは述べることは無い。世の中の動きの中で、生活のなかで見つけた事柄や芸能的なこと、そしてJUSさんが面白がって取り上げているのだが、宗教の話や超常現象的なことまで結構幅広い。だいたい、1回につき1話取り上げるので、話が分散しなくて聞き入れるところが、聴いているほうからすると、すーっとする。1回の中でころころ話題が変わると、理解不足のための消化不良というよりも、鬱陶しいことこの上ないからだ。

個人的には取り上げるテーマによって、これは面白いということと、何言っているのか全然分からないと両極端のときがある。特にアニメの話はちんぷんかんぷんである。一番面白いのは宗教モノ。上岡龍太郎を思い起こさせる宗教馬鹿馬鹿論は、聞いていて爽快だ。のめり込むと、その異常さに気づかないことが多いのだが、宗教というのはまさしくその典型的なものだろう。そしてJUSさんがその異常さについて、明確な指摘を毎回するところに共感を持つ。もっとやれーと。第何回目だったか忘れたが、宗教指導者に現代科学と照り合わせて宗教の整合性を論証することに手伝うことになった方がゲストで来た時の話は、とても興味深かった。というのは、誰もが絶対宗教的妄想の世界と科学的現実の齟齬について調査したいと思っている気持は大小あるとおもうのだが、それを本当にやろうとしたひとがいたというところだからだ。あぁいう話題はどんどんやってもらいたい。

それと、番組の中で気になるのがぎゃささんの JUS さん好きの愛情がめちゃくちゃ伝わるところが聴いていて心地よい。俺はこんなおもしろい人間をいちばんの友達として、そして一番良い場所で聞いているんだぞ、おまえら羨ましいだろーというような感じがすごく伝わる。確かにJUSさんの発言を一番間近で、そしてタイムリに聞いているのは一番の贅沢なポジションだと思う。確か、お二人の関係は大学時代の知り合いだという話をされていた気がするのだが、大学時代にこんな面白いことを言う人が友達に居たら、毎日が楽しくて楽しくて仕方が無かっただろうと想像する。芸人的におもしろい芸をするというのではなく、頭脳的に、そしてあとからじわじわと面白さが出てくるような話題を振りまいてくれるひとが居たら飽きないだろうな。

桜川マキシムは、他のポッドキャストの番組と協賛して「白鯨ラジオもっこもこパレード」を行っているため、たまに白鯨ラジオの公開収録を桜川マキシムで放送しているのだが、あれは要らない。白鯨ラジオの内容は白鯨ラジオとして放送して欲しいところだ。白鯨ラジオの内容は面白いのかもしれないが、全然面白さが伝わらない。というのは、喋っている本人達が居酒屋でわいわい騒いでいるだけの様子に近いものを公開ラジオとして流しているようなものだからである。桜川マキシムは、1つの話題を掘り下げるところに面白さがあるのであり、全く掘り下がらないダラダラとした話とは全く異質に聞こえるからである。だから、ポッドキャストで題名が「白鯨ラジオ」と見えたときには、ご本人達には申し訳ないが、だいたい即削除している。

あと、もう1つ。伏せ字ならぬ、いわゆる「ピー音」が結構多いことだ。ポッドキャストの良いところは個人が好きなことを好き勝手に言うところが良いのであって、なにかの映倫ならぬ倫理委員会にひっかかることを恐れているのか、都合の悪いことは「ピー音」で消しているところだろう。あれが無ければ楽しいと思うが、あることによって、このポッドキャストも何かに従う姿勢が見えているように思えて気持が悪い。ピー音を出すくらいなら、その話題をあとの編集自体で全カットするくらいの勇気があってもいいと思う。報道番組でよく使われているのだが、声を変えていますとか、擦りガラスの向こうで話していますとか、顔をぼかしていますというのを多様しているのだが、あれを視覚的に魅せられると、その報道自体に信憑性をかなり疑ってしまうのとの同じだ。ましては音声しかないところに伏せ音を入れられると、それを聴いている人の想像でいかようにも置き換えてくださいと他人任せにされている気分に陥るためにイライラしてくる。

これからもいろいろザクザクと斬って欲しいところだ。

桜川マキシム
URL : http://sgmx.info/

JUSさんのツイッター
URL : http://twitter.com/JUS_SGMX

ぎゃしゃさんのツイッター
URL : http://twitter.com/gyasya

日経ヴェリタス 大江真理子のモヤモヤトーク (Podcast)

テレビ東京のアナウンサーである大江麻理子が司会をしている経済ポッドキャストの「日経ヴェリタス 大江麻理子のモヤモヤトーク」は毎週火曜日に更新されるものであるのだが、これがなかなかおもしろい。素人目線で、経済で話題になっている事象について、これってどういうことなのかな?と日経ヴェリタスの編集の方と話を展開していくというもの。

詳しい説明をしてくれる日経ヴェリタスの編集のかたが、これまたおもしろい。この番組のウェブサイトを見なかったら、顔はきっとお笑い芸人みたいな人なんだろうとおもったくらいであり、話術が達者。もちろん、専門的な経済のネタについては、編集部長および編集副部長の肩書きを持っているために、よく知っている。経済専門家や金融関係者に話をするような話し方ではなく、経済の素人にも分かりやすい言葉で説明しているのは、日経ヴェリタス誌にも通じるものがあり、分からないとおもうことを分かるように解説しているのは文字だけではなく言葉として発するものにも適用としようという努力なのだろう。越中秀史さんと荒川大祐が出演した場合は、もう45分の番組があっという間に終わってしまうような軽快な喋りだ。

そもそも「モヤモヤトーク」とは、同じテレビ東京の「モヤモヤさまーず」から絶対題名を拝借したんだろうなと想像した。テレビ番組の場合は、さまぁーずのあのダラダラしたした感じを題名にしたものなのだろうが、ポッドキャストの場合のほうは、「これって何だろう?」というよくわからないなーというものを明快にしていくことを目的としているから、題名にとっても「名は体を現す」なのだろう。

ネタとなるのは、おそらく日経ヴェリタスの記事になったものから採用されているのだろうと思う。しかし、日経ヴェリタスのタブロイド版を見かけるのはなかなか難しい。日曜日に発行するから、日曜に駅のキオスクで見かけることが無ければ見かけないことは無い。記事ではつかみきれないことを、口から発する言葉でフォローしているように見受けられるのだが、内容が濃いので1つの経済的テーマを掘り下げて喋ってくれるから、現在の経済・マーケット動向というのがどういうものなのか、場合によっては地域の歴史的な事実にも関係した話が出てくるので勉強になる。

番組の中に出てくる「今週のモヤモヤ川柳」については、「それ、上手いなー」と言う場合もあるし、「なんじゃ、それ?」というような句が登場するところもおもしろい。一般投書者からの意見がこの句に反映されていたりする。コーナーのジングルに使われている獅子落としが、中途半端な音なので、もっと音が響くような「かぽーん!」という音にしたほうがいいと思うんだけどな。


大江麻理子のモヤモヤトーク
URL : http://www.nikkei.co.jp/podcast/veritas/

日経ヴェリタス
URL : http://veritas.nikkei.co.jp/

オン・ザ・ウェイ・ジャーナル (Podcast)

かつてはすべてのポッドキャストの番組が、全部違う番組として管理されていたのだが、ある時からすべて1つのポッドキャストのチャネルとして登録しておけば、すべての番組がダウンロードできるようになった。それがオン・ザ・ウェイ・ジャーナルである。
触れ込みは「政治・経済を通して、日本の今後の未来がどのようにあるべきか、有るべき姿を討論する番組」なのである。

オン・ザ・ウェイ・ジャーナルに登録されている番組というのは次の通り。

月刊 寺島実郎の世界
田原総一朗のタブーに挑戦!
上杉隆 ニュースの見方
町田徹 経済ジャーナル
工藤泰志 言論のNPO
高野孟のラジオ万華鏡
神保哲生のワールド・レポート
梶原しげるのトーク・トゥ・トーク

どれもこれもがとても面白い。1つ1つの番組を説明していると、ウェブサイトに書ききれないことになりそうなのだが、朝の通勤時間帯に聞く音声ポッドキャストとしては、とても良い長さになっており、朝から勉強になるようなことをたくさん放送してくれていると思う。特に政治・経済のような難しい話題について、焦点を絞って、それぞれのことが実際にはこうなのだと、包み隠さずに放送しているのはとても納得がいくものがある。既設の放送局や雑誌ではスポンサーのてまえがあるためか、何事についても、なにか奥歯に挟まったような言い方や表現しかなく、本質について全く何も答えないまま番組が終わるというのが多いのだが、ここに紹介されている番組は、どちらかというと、文句があるんだったら番組に出演して、その反論を聞かせろというような強気の立場の人たちが放送しているから、どれもこれも面白いのである。強い権力に対して屈せず、ぶれない論理に基づいて思想や評論を行っているからこそ、その真剣さが伝わるわけであり、そして、すべての人が全員批判的な意見を述べているのではなく、建設的な意見を述べているから信用したくなるのである。単なる批評家だけだったら、「じゃ、おまえやってみろ」という意見が出てくるのだが、その意見を吹き飛ばすだけの実行力をどの方も実践しているところに真剣な意見を納得させる力があるのだろう。

寺島実郎さんの意見としては大中華圏との共存に関して勉強できるところがある。大日本共栄圏ではないところであり、日本は国内に特化するのではなく世界のなかのちっぽけな国であるためにどんどん世界から吸収し、そして世界へ出て行けという、元商社マンらしい意見に賛同できるからである。

田原総一朗さんは、もう有名なので紹介するのは不要だが、ポッドキャストの中では、ほとんどそれを言ったら、絶対他から刺されるんじゃないの?というような心配をするような発言を連発する。それも、「ピー」なしの発言なので、信憑性100%なのだ。伏字や伏せ音を入れないところが素晴らしい。

ポッドキャストで実は名前を初めて知ったのは上杉隆氏。変わった経歴をお持ちのひとなのだが、理論整然とした口調と、記者クラブがどれだけ馬鹿な組織なのかというのを、世の中に知らしめ、そしてご本人とそれに賛同するかたたちで現在は「自由報道協会」を設立したのは記憶に新しい。Utream を使っておもしろいゲストや絶対テレビに出なさそうな人の生々しいインタビューをしているところがとても共感できる。

話が面白いのは梶原しげるのポッドキャストだ。やっぱりキャスタだけあって、話の引き出し方がとても上手で、これはインタビューをする人にとってはお手本になるようなものだと思う。声のトーンや相手を喋りやすいような環境と話題をジャンジャン出していくところは、聴いている側も楽しむことができよう。

そのほかの人たちも、政治・経済に特化しているひとたちも多いので、ニュースを見るより深い知識が得られる重宝した番組たちだ。毎日更新されているので是非通勤時間帯に気軽に聞く世の中の情報番組として聞いたらいいと思う。

海外ブラックロード (Podcast)

旅行作家の嵐よういちさんと、ノンフィクション作家の丸山ゴンザレスさんがメイン司会としているポッドキャストの番組「海外ブラックロード」は、基本的には海外旅行とそれから派生したいろいろな内容に富んでいる番組で、だいたい長さとしては20分から30分の番組である。この番組、朝の眠いとき、そして満員電車に乗っているときに聞いていると、「なるほどー」と感心するところよりも、数々の笑いの箇所があるために、ニヤニヤしながら聞いているときがある。傍から見ていると、きっと気持悪いサラリーマンに見えることだろう。

さて、内容なのだが、嵐よういちさんがいろいろな国に行って、こういうことがあった、あぁいうことがあったというのを、丸山ゴンザレスさんが上手くツッコミと話題の振り方をしながら話を盛り上げて言っているというところだろう。

今ではすっかり、丸山ゴンザレスさんが嵐よういちさんを、歩く生殖器的な扱いで、「そんなときには嵐さんはオナニーをしているんでしょう?」というツッコミが定番になって、丸山ゴンザレスさんが嵐さんをおちょくるというスタイルが確立してしまっているのだが、最初のころは、番組つくりにはありがちだったのたが、どういう立ち位置でお互いが居ればいいのだろうということに切磋琢磨していたように思える。だから、実際に嵐よういちさんを生で見た事が無いために、嵐さんを本当に常にオナニーばかりしている人なんじゃないのだろうか?とポッドキャストを聞きながら思ったくらいだ。

どちらの方の著作を見ても分かるのだが、嵐さんは旅行に特化し、現地でどんなことに遭遇し、どんな奇妙奇天烈なものに出会ったかというのを面白おかしく表現をしているものだ。当の本人もポッドキャストの中で、旅行作家の作品は文学的なオナニーに等しいと述べており、言いえて妙だとそのときには思った。確かに、最終的には誰かに読んでもらって共感をしてもらえたらいいところなのだろうが、文章を書いているときには自己満足、自己演技、自分大好きというのを表現しないと、全く面白みにかける文章になるのは当然だろうからだ。それをわかって作品化していらっしゃるところが、個人的には面白い。反して丸山ゴンザレスさんの作品は、社会派的な作品が多いとおもう。旅行的な要素よりも、歴史的な事象から掘り下げが作品が多いように感じた。

さて、番組だが、なんとなく南米に関する話題が多いように思う。ご本人達が大好きだからということもあるんだろうが、南米特にブラジルに関する話題が多いと思う。頻繁に南米にいくことが多いのかどうかはよく知らないのだが、自分にとっては一番未知の場所なので、南米に関する情報を作家の目を通して面白く聞けるのは、なるほどーということよりも、そんな変なことばかり起こるところかと驚きを隠せないような印象がある。ただ、南米ばかりではなく、もちろん他の地域についても紹介されることもままあるが、あまりどこかの国に特化した話題というのは少ない。

そう考えると、ある国に特化したことを話題にしているわけじゃないということは、彼らにとっては国や地域というのはどうでも良くて、その中で蠢いている民衆や昔から続いている慣習、そして独特の文化や思想というのを、探求しそれを日本人に知らせたいというのが基本的なコンセプトとして聴衆に知らせているような気がする。

忘れてならないのは、準レギュラーの「オガミノ君」と「和田虫象」さんの2人だろう。このお二人は、丸山ゴンザレスさんと嵐よういちさんの完全マスコットになっているようだ。関係がわからないのだが、オガミノ君は嵐さんのアシスタントなのだろうか?嵐さんが出かける旅行には付いて行っているようだ。和田虫象さんのほうは、キャラクターがよくわからない。隠れプロ汁男優だったり、実は「きっついお仕事」という題名の本を出していたりしたりするマルチタレントっぽい感じがする。この2人が出演する際には、あまり旅行とは関係ないような話になることが多いのだが、その三人のやり取りがまた最高だ。

それにしても、嵐さんのナメているような口調というのがカッコいい。「そんなの常識だろう、なぜそんなことを聞く?」というスタンスを貫いているところが良い。上から目線での口調がどこまで演技でどこまで本気なのかよくわからない。そして、頑固ジジィに対して「もう、おじいちゃん、そんなに向きにならないのっ」と舅を労わる嫁のような扱いをしている丸山さんの掛け合いは、今後はどのように展開していくのかというのに期待したい。

ひとつ気になることと言えば、他のポッドキャストにも多々該当する場合もあるのだが、アップロードされる時期というのが不特定なのである。毎週何曜日にファイルをアップロードされているというのではなく、気が向いたときにアップロードされているというところもネット番組の自由なところなのだが、あまりにも自由すぎて、1日に2番組アップロードしている場合もあるので注意である。

海外ブラックロード
URL : http://www.blackroad.net/blackroad/

嵐よういち 公式サイト
URL : http://www.blackroad.net/japanese/

丸山ゴンザレス ブログ
URL : http://ameblo.jp/maruyamagonzaresu/